DMCAと逆SEO対策① ~ウェブにおける著作権とは~

DMCAと逆SEO対策① ~ウェブにおける著作権とは~

近年、ウェブの著作権をめぐり様々な問題が取り沙汰されています。

ひとたびYouTubeにアクセスすれば、多くのテレビ番組や映像作品が権利者に無断で日夜無数にアップロードされていますし、キュレーションサイトであることを謳い、堂々と違法に著作物を掲載している漫画村のような脱法サイトが後を絶ちません。

そもそも無法地帯と化していたウェブ環境を整備するために制定されたはずのプロバイダ責任制限法が、現状の不正コピーの氾濫に対応できていないとの指摘があります。また、米国でウェブ著作権を保護するために制定されたDMCAに至っては、それを逆手にとった不正な逆SEO対策の温床となっているなど、著作権にまつわる法整備には多くの課題が残されたままです。

ウェブ著作権の現状と現行の法整備について、また、その抜け道を悪用した不正な逆SEO対策と炎上事件について、2回にわたって見ていきたいと思います。

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ウェブにおける著作権

ウェブにおける著作権

そもそも「著作権」とはなんでしょうか。
ナビゲートビジネス基本用語集によると、著作権は次のように定義されています。

著作者が、その著作物を自分の財産として独占的に利用できる権利。
著作者は、著作物を複製・頒布することで利益を得ることができる。
また、他者による無断複製や利用を制約できる。
 (中略)
著作権は著作物を創作した時点で発生し、死後50年間有効となる。

出版物から音楽や映像、建築に至るまで、あらゆる創作物には著作者がいます。

著作権は作者がそれを創作した時点で発生し、作者が亡くなってから50年の間保護されます。その期間は作者が独占的にそれを利用、複製して利益を得ることができるとされ、また、著作者は他人の複製や頒布を制限できることになっています。

著作権を語る際に、非常に重要な点がここにあります。

例えば本稿もまた、一つの著作物として作者たる私に著作権があります。ウェブで本稿を引用する際は注意書きが必要ですし、無断で複製され、他のサイトに転用されるようなことがあればそれを差し止める権利を著作者である私がもっているということです。
ただし、サイバー空間における著作権保護については、法整備が進みつつあるものの、抜け穴が多数存在しています。

日本では2002年にプロバイダ責任制限法が施行され、プロバイダ(サーバ運営者含む)が情報発信者および権利を侵害された者に対して負う責任が明確化されました。このことにより、著作権侵害についても、対象プロバイダへの申し立てによって侵害サイトを削除することが可能になったのです。しかし、この法律の定めるところに従って権利侵害を申し立てても、削除や差し止めの対応をされないケースが多数存在します。

どうして侵害サイトを差し止めることができないのかDMCAを例に見ていきましょう。

DMCAとは

DMCAとは

プロバイダ責任制限法には、制定に際して元になった米国の法律があります。

それがDMCAです。
DMCAはデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act)の略称で、1998年に成立、2000年に施行されました。ウェブにおける著作権保護を目的として制定された連邦法で、米国の著作権法をもとに、デジタル時代の要請にあわせて改正されたものです。

Googleは日本国内からの申請についても、原則的にすべてこの法律に基づいて審査をします(正確には、実際に審査するのはGoogleから委託を受けた第三者機関ですが、ここでは便宜的にGoogleで統一しています。)

DMCAやプロバイダ責任制限法に共通しているのは、実際に著作権侵害の申し立てがあった際のプロバイダの責任を制限している点です。プロバイダは申し立てに対して、明白な著作権侵害のある場合には即時に送信防止や削除などの措置をとりますが、判断が分かれるケースについては侵害元の反論を待ち、審議に入る場合があります。Googleなどのプロバイダは申し立てに対し、放置せずに何らかの対応をとってさえいれば、原則的に著作権侵害の当事者としての責任を免れるのです。

つまりは乱暴な言い方をすれば、プロバイダは申請に対して「きちんと対応していますよ」というポーズさえとっていれば責任を回避できるため、侵害度合いが微妙なケース、いわゆるグレーゾーンにあたる案件については実質放置されるケースが多く存在します。そしてウェブ上の著作権侵害については次のような理由からグレーゾーンにあたるケースが大変多く、明確な対応をとられずに放置されることが多くなってしまうのです。

キュレーションサイトをめぐる著作権

キュレーションサイトをめぐる著作権

ウェブ著作権侵害の判断基準をめぐり、非常にデリケートな問題が二点あります。

一点目はキュレーションサイトの「引用」「リンク」をめぐる問題です。
ウェブ上にはキュレーションサイトが多数存在しますが、これらのサイトはインターネット上の様々な情報を収集、分類してまとめ上げたサイトです。いわば巨大な引用集、リンク集にすぎません。
これらのリンク集が果たして「引用」にあたるのかは、以前から議論の的になってきました。著作権法上の「引用」は明確に定義されていて、引用元(キュレーションサイト)がメインで、引用先がサブである、いわゆる主従関係が成立していなければなりません。例えば、本稿でとりあげた著作権の定義の引用がそれにあたり、引用はあくまで添え物で、メインのテキスト(本稿)がなければ著作権法上の引用とは認められないのです。

しかしながら多くのキュレーションサイトはいわゆる「リンク集」になっていて、メインの記事がほとんどないケースが散見されます。こういった「リンク集」が著作権法上の「引用」にあたらないのではないかという議論は当然あるものの、現在も明確な結論は出ていません。

また引用されたデータがどこにあるのかも非常に重要で、とくに写真の場合、他人が著作権を持っている画像を無断でサーバにアップロードしていれば明確な著作権法違反となりますが、それが埋め込みリンク方式で表示されている場合は、サイトの閲覧者が見ている写真はリンク元のデータとなるため、これは明確な著作権侵害にはならないという難しい事情もあります。

このように、キュレーションサイトが実質的なリンク集で、サーバ上にそのデータを持たないとき、それは著作権法違反とはみなされないのが現状です。しかしながら当該サイトでリンク情報を閲覧できる状況にあるのに、それがプロバイダや運用元に責任がないというのはいかがなものかという議論もまた、活発になってきています。先日話題となった漫画村問題も、もとをただせばこのことに端を発した問題であり、このことからも、引用やリンク問題は非常に難しい問題を孕んでいるということがご理解いただけるかと思います(ちなみに漫画村問題については、GoogleはDMCAをめぐる申し立てに基づき、検索インデックスからの削除を実施しました。)

ウェブ著作権の扱いは難しい

ウェブ著作権をデリケートなものとしている理由の二点目として、DMCAを逆手にとった逆SEO対策の存在があげられます。DMCAと逆SEOがなぜ関係するのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。この問題については、次稿で具体的な事例を交えて説明させていただきます。

DMCAやプロバイダ責任制限法を見ただけでも、ウェブにおける著作権問題がいかに複雑で、解決すべき問題をいかに多く抱えているか、その一端をご理解いただけたかと思います。キュレーションサイトやGoogleインデックスをはじめ、ウェブではリンクの引用が相互に張り巡らされて構築されており、著作権をはじめとした諸権利の所在があいまいになりがちなのです。

このようなサイバー空間における著作権の所在については、まだまだ解決すべき問題が数多く存在しています。
このことを踏まえたうえで、事稿では著作権をめぐる炎上事件についてみていきたいと思います。