不動産賃貸業の炎上事例②~センチュリー21炎上から学ぶ~

不動産賃貸業の炎上事例②~センチュリー21炎上から学ぶ~

不動産賃貸業の炎上・風評事例から学ぶ連載コラム、本稿で2回目となります。
前回のうちナビ社の事例は、どちらかというとベンチャー気質のある企業での事例でもあり、必ずしも業界の一般的な事例とは言いにくいものだったかもしれません。
2回目の本稿では、いわゆる「町の不動産屋」で明日にでも起こるかもわからない典型的な事例として記憶にとどめるべきケースをご紹介したいと思います。
ウェブでの評判管理や監視はもちろんのこと、フランチャイザーといえども加盟店の適切な社員教育を行っていかなければならないという良い教訓であると思われます。
それでは、センチュリー21加盟店で実際に起きた炎上事例を紐解いていきましょう。

センチュリー21の炎上事例から学ぶこと

センチュリー21の炎上事例から学ぶこと

センチュリー21は1971年にアメリカで創業し、2018年3月現在、世界74の国と地域に7100店舗を展開、従業員10万人を抱える世界最大の不動産仲介グループです。
日本国内でも1983年の設立以来順調に加盟店を増やし、現在では実に921の加盟店を抱え、国内最大の不動産フランチャイザーに成長しました。ウィキペディアによると2013年8月に823店舗であったとされており、わずか4年半の間に100店舗もの出店をしていることになります。事業規模、目下の成長力ともに押しも押されぬ日本最大の不動産仲介グループと言えるでしょう。
そんなセンチュリー21の加盟店『センチュリー21パキラハウス』(東京・豊島区)にてネット炎上騒ぎが持ち上がったのは2016年1月8日のことでした。業界初めての炎上事例が最大手から起きたという点でも、示唆的な事件であったと思わざるをえません。
ことの顛末を時系列で追っていきましょう

2016年1月8日、芸能人堀北真希と山本耕史夫妻が新居を探すため、東京・雑司ヶ谷の「センチュリー21パキラハウス」へ来店

19時、対応をした20代女性従業員が、二人が来店したこと、月額数十万円の高級マンションの物件を紹介したことをツイート

守秘義務違反であることなどをめぐり批判のリツイートが巻き起こる

ツイッターまとめサイト、2ちゃんねるなど匿名掲示板で複数のスレッドが立ち上がる

一部2ちゃんねる住民(通称特定班)によって個人情報が洗い出される

過去ツイート情報から女性の経歴、年齢、姓名、顔写真が判明。その後、パキラハウスのブログにより入社歴などが判明

当人およびセンチュリー21を名指しした誹謗中傷が巻き起こる(いわゆる炎上状態)

翌朝、炎上に気づいた当人が該当ツイートを削除

ツイートは削除されたものの炎上は止まらず、各種ウェブメディアや報道などにさらされる

センチュリー21・ジャパン側でようやく状況を把握、2日後に謝罪文をHPに掲載するも事態は収束せず

2018年現在、多くのまとめサイトや関連ブログなどにその傷跡をとどめている

いわゆる従業員のツイートから端を発した炎上事件では、多少の差はあるものの概ねこのような経緯をたどることが多いようです。
多くの炎上事例で共通するポイントとして、下記3点があげられます

  1. 当事者のツイートに端を発し、あらゆる個人情報が短期間で流出してしまう
  2. 流出した個人情報が多くのウェブメディアに拡散し、ツイートを削除してもウェブ上に永遠に残ってしまう
  3. 企業が謝罪文掲載、謝罪会見を開かざるを得なくなり、その対応次第ではさらなる炎上を呼ぶケースもある

こういった炎上事件を引き起こす従業員の特徴として、SNSが開かれた空間であることを認識していない、あるいは認識していてもその意味するところを理解できていない、という点が挙げられます。
今回の女性従業員もツイッターに本人の顔や住んでいるところ、過去の勤務歴、通学歴などがわかる情報を多数ツイートしていました。また、ブログなどにも容易に当人を特定できる情報を多くアップしていたのです。こうなるといざその気になれば、個人情報はわけもなく洗い出され、流出してしまいます。
しかも非常に短期間にあらゆる情報が流出してしまうのも特徴です。
2ちゃんねるを中心に、ネットの世界にはよく言えば正義感が強く、非常に執念深いユーザーが多数存在にしていて、このようなネタがないかを常に探しています。いざネタを見つけたが最後、一晩もあれば個人の特定から勤務先や住所、果ては家族や恋人の情報までも流出させられてしまうケースがほとんどです。こういった個人特定や炎上に関わる人数は、多くても数名程度であるというデータもありますが、たった数人であってもネットから個人情報を特定する作業は、ノウハウさえあれば簡単かつ短期間に行えてしまうというのが実情です。

それでは、このようにして流出した情報はどうなるのでしょうか。
ウェブの特徴として、一度外に出てしまった情報は延々と拡散を続けます。
個人のプライバシーを守る法律として『プロバイダー責任制限法』が整備されており、一つ一つの流出先をあたって削除申請をしていくことはできるのですが、これには莫大な手間と費用が掛かります。
私はウェブコンサルタントとして、過去に炎上を引き起こしてしまった方から相談を受けることが多く、多くの被害者の方を身近に見てきましたが、当人や家族の精神的負担は想像を絶するものがあります。弁護士に依頼して一つ一つのプロバイダーに申請を行ったり、対策業者による施策を実施したりすることでの財政面の負担も大きくのしかかります。しかも、大変残念なことではありますが、これだけ苦労をして申請や施策を実施しても、流出した情報すべてを削除し、炎上をなかったことにするのはほぼ不可能なのです。

もちろん、企業側の負担も相当なものになります
今回の事例では、センチュリー21側がパキラハウスのオーナーと連携し、迅速に謝罪文を掲載するなどしたことで騒動は徐々に沈静化していきましたが、一歩対応を間違えると、謝罪文や会見に端を発した第二の炎上が起こらないとも限りません
これら第二の炎上については、また別の機会にまとめていきたいと思いますが、こうなってしまったときに企業がこうむるブランドイメージの凋落、イメージ回復にかかる莫大な広告宣伝費などを鑑みると、一度の炎上が企業に与える様々な悪影響の広がりを痛感せざるを得ません。

センチュリー21の炎上事件を教訓とした炎上被害を受けないための三ゕ条

センチュリー21の炎上事件を教訓とした炎上被害を受けないための三ゕ条

センチュリー21の炎上事件を教訓に、企業が炎上被害を受けないための三ゕ条をまとめてみます。

  • 一、従業員のリテラシー教育を徹底
  • 一、炎上が起こった場合、迅速かつ正確に状況を把握する体制構築
  • 一、炎上後の謝罪文や謝罪会見のノウハウ構築

一、従業員のリテラシー教育を徹底

従業員のリテラシー教育は、いまやいかなる業界においても必須の時代となりました。
従業員やアルバイトがSNSをどのように使っているかの現状把握から始め、SNS運用のガイドラインを策定、それらを従業員に守らせるための勉強会やケーススタディなどを実施している企業も増えてきています。
センチュリー21のようなフランチャイザーの場合も例外ではありません。加盟店オーナーを集めて講習会を行い、それをオーナーから社員へ徹底させるなどの仕組みづくりが必要になってきているのです。加盟店がやったことだから本部は関係ないという態度をとれば、そこには第二の炎上が待っています。

一、炎上が起こった場合、迅速かつ正確に状況を把握する体制構築

炎上が起こっていることを迅速に担当者が知るためにはどうすればいいのでしょうか。
自社でツイッターや2ちゃんねるなどの監視を行う体制が構築できればいいのですが、こういった炎上は深夜におこることが多く、なかなかそこまでできない企業も多いと思います。かといって、外部のウェブ監視業者に委託するには費用面の負担が大きい、という声もよく聞きます。そのような場合は、Googleアラートのような簡易的な監視ツールを導入することをお勧めします。Googleアラートについてはまた稿を改めたいと思います。

一、炎上後の謝罪文や謝罪会見のノウハウ構築

仮に炎上してしまったら、とにかく迅速に謝罪の意思を表明しなければなりません。
公式HPのトップに掲載する、公式ツイッターにて表明する、プレスリリースをうつ、謝罪会見を開く、など実に様々な方法がありますが、ここで心掛けなければならないのは、正確な情報発信を心がけること、誠心誠意を尽くすこと、アルバイトや加盟店のせいにして責任逃れをしないこと、があげられるでしょう。
とくに責任逃れは第二の炎上を引き起こす一番の引き金になりますので、仮に本部に責任がないと思われる場合でも、まずは誠意を尽くした謝罪を行うべきです。

まとめ

不動産賃貸業での風評事例、炎上事例について2回にわたって見てまいりました。
いかがでしたでしょうか。
炎上や風評が企業に与える甚大な悪影響の奥深さが垣間見えたかと思います。
同じ轍を踏まないように企業が準備できることについても簡単にまとめさせていただきましたが、自社で対応するのは難しい、どうしたらいいかわからない、などといった声も聞こえてきそうです。
わからないこと、お困りごとがありましたら、風評被害対策カレッジお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。弊社専門スタッフが親身にご回答申し上げます。